小原流について

いけばなの歴史は室町時代に華道池坊が成立した頃まで遡りますが、小原流が誕生したのは明治時代、「たった」百数十年前のことです。しかし400以上あるといういけばなの流派の中でも、小原流はいけばな三大流派の一つとして知られるほど、大きな流派となりました。

盛花の創始により、小原流は広く大衆に支持を受けるようになり、その後もいけばなの集団授業や女性への教授職の開放をいち早く始めるなど、その時代に合った感覚を取り入れて発展してきました。

現在は海外にも多くの支部があり、「いけばな」を世界中に広めていく活動をしています。段階を追って無理なく会得できるようなカリキュラムが制定されており、どこの教室においても同じ内容で習える合理的なシステムとなっています。

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五世家元

小原 宏貴おはら ひろき

1988年、神戸市生まれ。1995年(平成7年)、6歳にして五世家元を継承し、日本の伝統文化である「いけばな」の普及と、芸術家として国内外の活動に力を注ぐ。現在、小原流研究院院長、公益財団法人日本いけばな芸術協会副理事長、兵庫県いけばな協会会長、日本いけばな伝統文化協会副会長、一般社団法人日本和文化振興プロジェクトアドバイザー、大正大学客員教授、小原流ビギナーズスクール校長、小原流誌挿花編集長。

歴史・歴代家元

流祖

小原 雲心

小原 雲心 おはら うんしん(1861~1916年)

幕末の1861年、島根県松江の陶芸家の家に生まれる。大阪で彫刻家として活躍するも、病弱のためいけばなの道へ転⾝。⻄洋⽂化の流⼊のなか彫刻家としての経験から⻄洋草花をいける⽔盤や鉢を考案し、これまでにない形式、盛花を創始した。

二世家元

小原 光雲

小原 光雲 おはら こううん(1880~1938年)

1880年、島根県生まれ。父雲心を追って大阪に出、流祖の没後、二世家元を継承。華道界初の支部組織を創立するなど、近代的な指導法や組織化を確立。小原流を全国規模に拡大する。また雑誌やラジオなどにも積極的に出演し、いけばなの大衆化に貢献した。

三世家元

小原 豊雲

小原 豊雲 おはら ほううん(1908~1995年)

1908年、大阪に生まれる。⻘年時代から前衛美術や原始美術に傾倒。二世の没後、三世家元を継承。戦後全国初となるいけばな展示を行う。勅使河原蒼風とともに、作家として前衛いけばな運動に積極的に参加。世界各国を歴訪し、いけばなの国際的普及に努めた。

四世家元

小原 夏樹

小原 夏樹 おはら なつき(1949~1992年)

1949年、神⼾に生まれる。甲南大学在学中に次期家元に指名され、三世家元の補佐役として世界を歴訪。シルクロードを舞台に作品集を刊行。時代にふさわしい花型を追及して「花舞」や「花意匠」を創案するも、志半ばにして42歳で逝去。四世家元を追贈された。

型・表現

いけばなについて

小原流には多くの「型」や「表現」があります。資格が上がるにつれて新しい表現が増えていきますが、そのために必要な技術が段階的に身につくカリキュラムをご用意しています。

盛 花(もりばな)

小原流の誕生のときに、流祖・小原雲心が考案したという、最も小原流らしく、小原流ならではのいけばな。平たい器(水盤)を用いて、材料を盛るように面的な広がりを強調したいけばなを言います。いけばなといえば、水盤に剣山というイメージが知られていますが、そのかたちを最初に生み出したのは、小原流です。

瓶 花(へいか)

花瓶を使ったいけばなです。江戸時代からあった「投げ入れ花」と呼ばれる、花瓶に材料を自然な姿で入れて見せるいけばなの系譜を受け継ぎ、その伝統を踏まえた上で、より現代の感覚に合うように工夫されています。

花 意 匠(はないしょう)

現代の生活空間にふさわしく、また多様化したさまざまな花にも対応できるいけばなです。一方向だけでなく、いろいろな方向から見ることのできるように工夫されたタイプもあり、いけやすさ、覚えやすさなども備えているところから、小原流で最初に学ぶのも、この花意匠です。

小原流のその他の表現についてはこちらをご覧ください。

研究院

1965年、三世家元小原豊雲により設立された、本部直属のいけばな研究・指導組織です。
所定の教程を修了し、小原流いけばなに関する高い技術と造詣を家元に認められて、認定試験を合格した教授者が就任しています。
小原流会員の技術向上のために日本全国146支部での指導や海外での指導を行い、小原流いけばなの美と伝統を小原流会員に伝え、後世に残していくための研究活動に従事しています。
現在は五世家元 小原宏貴を院長として、全国で78名が活動しています。

研究院役職者組織図

院長 副院長 教授 助教授 講師

小原流研究院役職者の主な業務

専門教授者への指導(専門教授者研究)

小原流いけばなを教えている先生のことを、小原流では「専門教授者」と呼びます。全国各地に在籍する専門教授者の指導内容にばらつきが出ないように、専門教授者を定期的に集めて、いけばなの勉強会を行っています。これが、「専門教授者研究会」です。
この「専門教授者研究会」でいけばなの技術指導を行っています。いわば、「いけばなの先生の先生」という位置づけです。
この研究会を通し、専門教授者が正しい技術と知識を学ぶことで、全国のどの教室でも、標準的な指導を受けることができます。
※専門教授者資格、専門教授者研究会については、こちらから

小原流会員への指導(支部定例研究会)

小原流いけばなを学ぶ全ての人に対しての定期的な指導も、研究院の役割です。普段のお稽古で学んだ技術を試す機会として、また新たな学びを見つける場として、普段の教室でのお稽古とは別に、「支部定例研究会」に参加することができます。
「支部定例研究会」では各資格ごとに課題が設けられており、いけられた作品に点数がつきます。そちらの採点と指導に小原流研究院が派遣されています。小原流の技術や美意識を正しく伝えるための、取り組みのひとつです。
※全国の支部組織や、支部定例研究会に関しては、こちらから

全国8地区での本部主催研究会での指導(地区別教授者研究会)

小原流研究院監修のもと、三級家元教授以上の資格を持つ会員を対象に、いけばなの知識や技術の力を総合的に問う研究会を開催しています。地区別研究会では、実際にいけた作品と筆記試験で採点を行います。本研究会に参加することで、いけばなの幅広い知識を学ぶことができます。
本研究会を開催することにより、正しい知識と技術、小原流の魅力を会員に伝えています。
※地区別教授者研究会についての詳しい情報は、こちらから

研修課程

専門教授者や会員への指導のみならず、小原流研究院の後身の育成も大切な仕事の一つです。未来の小原流研究院育成のために、またいけばな技術を究めたい会員のために、三級家元教授以上の資格を持つ会員を対象に研修課程を開催しています。研修課程は全ての研究会の中で、最も高度で専門的ないけばな技術を学ぶことのできる試験です。正しく技術を学べているかを判定するために、厳しい合格基準が設けられています。研修課程の全課程を修了すると、小原流講師試験の受講資格を得ることができます。研修課程の卒業から講師試験合格まで、狭きを通過した精鋭が小原流研究院役職者として活躍しています。
※研修課程についての詳しい情報は、こちらから

財団概要

名称 一般財団法人小原流
設立年月日 昭和28年8月21日
代表理事 小原 規容子
所在地 東京都港区南青山5-7-17
活動目的
  • 当法人は会館を維持経営し、小原流華道を通じて「いけばな芸術文化」及び情操教育の向上を図るとともに、華道教授者の養成及びその人格の陶冶に資し、もってわが国文化の振興に寄与することを目的とするとともに、その目的を達成するため次の事業を行う。
事業内容
  • (1)会館の維持経営
  • (2)いけばな芸術文化及び情操教育の向上に必要な講習、講演会及び展覧会等の開催
  • (3)華道修習に必要な研究会及び講習会の開催
  • (4)華道教授者の養成
  • (5)華道に関する機関紙及び図書の刊行
  • (6)特定保健業等(華道教授者の福利厚生に関する事業)
  • (7)その他上記の目的を達成するために必要な事業