全国支部紹介 vol.2 小原流大阪支部

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小原流は全国に144、そして国外には89の支部があります。
皆さんが在籍している支部がそうであるように、
それぞれの支部に設立のあゆみや特徴、
現在の取り組みなどがございます。
本ページにて毎月、全国支部を1支部ずつご紹介いたします!
今回ご紹介するのは小原流大阪支部です。
十代支部長 吉田豊貞先生にお話を伺ってまいりました。

小原流大阪支部 支部長 吉田豊貞

1968年 小原流入門。

こどもの頃から自然の草花に関心を持ち、花遊びをしながら"いける"ことを覚える。小原流入門後は技術研鑽を重ね、小原流研究院講師・助教授として全国をまわり指導にあたる。現在は、大阪支部 支部長に加え、一般財団法人小原流常務理事、同近畿中部地区代表委員、日本いけばな芸術協会特別会員、大阪府花道家協会常務理事を兼任している。

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大阪支部の特徴、大阪の街について


全国144支部の中でもっとも歴史のある大阪支部は、1910年(明治43年)、流祖 小原雲心先生が「小原式国風盛花」を名乗られたことが発祥です。そこから数えて今年で創立112年を迎えます。

そんな大阪支部の特徴を考えてみますと、何より代々の支部役員の先生方がとても熱心に支部運営に協力してくださることです。前支部長の新川 豊艶先生や、小原流研究院 相談役 難波 佳代子先生をはじめ名誉幹部・参与の先生方が、ご自身の生徒に研究会への参加を働きかけてくださいます。このご協力により支部に活気が生まれ、また次の月、そして次の年へと大阪支部の心が繋がり続けていると日々感謝しています。
また、大阪は地域が広いことも挙げられるかと思います。大阪支部では、東は神戸、北は京都に近いところから南は和歌山まで地域を10地区に分割し、それぞれの地域で「地区委員」を決めています。地区ごとに小旅行に出かけて親睦を深めたり、地域順に「みんなの花展」を開催するなど、地区同士が連携しながら活動しているのですが、思い出されるのは、コロナ以前に第8地区で企画した滋賀県へのバス旅行です。もともと8地区のメンバーだけで珍しい『双頭蓮』を見に行く予定だったのですが、噂を聞かれた他地区の先生からも参加したいとのお声をいただき、結局大型バス2台の大旅行となったのは楽しい想い出です。

お花の話しからそれますが、大阪と言えば「食い倒れの街」。お好み焼きやたこ焼きなど美味しいグルメがたくさんありますが、そのなかでも「うどんすき」がおすすめです。うどんすきというのは、お鍋にうどんを入れて、鶏肉や海鮮、野菜といった豊富な具材と一緒に煮込んだ鍋料理のこと。大阪・研修会館からも近い「美々卯本店」さんと、道頓堀の「今井」さんがおすすめです。

観光スポットも多い大阪ですが、静かな場所にも名所があります。今回は大阪散策をテーマに選んでみました。大阪の北浜という所には、国の重要文化財にも指定されている緒方洪庵の「適塾」があります。皆様もご存知、福沢諭吉や大村益次郎が学んだ洪庵の私塾ですが、ここは小原流研修会館から車で10分ほどの場所にあります。周辺は史跡公園として綺麗に整備されていて、建物は洪庵が居住していた当時の姿に復元されて一般公開も行われています。江戸末期~幕末の学生たちの息吹を感じる貴重な建物です。

適塾から徒歩10分ほどの場所には「道修町(どしょうまち)」という「お薬の町」があります。現在でも、薬問屋や製薬会社が150軒ほど立ち並び、道修町の御三家と言われた武田薬品、塩野義製薬、田辺製薬(現在は田辺三菱製薬)が軒を連ねた町としても有名です。このエリアには、疫病退散で地元から親しまれている「少彦名神社」があり、通天閣や吉本興業とはまた違う大阪の雰囲気が楽しめると思います。大阪にお越しの際に立ち寄られてはいかがでしょうか。

最近の嬉しいニュース


私事で恐縮ですが、昨年5月3日の憲法記念日に「令和3年度 憲法記念日知事表彰」を授けていただきました。いけばなの発展に寄与したとのことで、大阪府花道家協会に推挙していただき、吉村洋文大阪府知事名の賞状をいただきました。

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大阪・小原流研修会館にて


(副支部長談)研究会開催の際、朝礼で会員に報告したところ会場が拍手に包まれました。コロナ禍で鬱々とした中で、みなさんの笑顔が溢れた素敵な瞬間でした。画像は、大阪・小原流会館でお花をお渡しした際の写真です。

大阪支部の花展活動について


大阪支部では、毎年春と秋の花展に参加しています。ひとつは、今月開催された春の花展「いけばな女流選抜作家展」。この花展は三世家元 小原豊雲先生のときから続いている歴史ある花展で、その時々の大阪支部副支部長や小原流研究院役職者がチーフとなり参加しています。また、ジュニアいけばな展として、伝統文化こども教室の子どもたちも出品しています。詳しい内容は、今回のメールマガジンにも掲載いただいておりますのでご高覧ください。

そしてもう一つが、秋の「大阪府花道家協会展」です。今年開催されると56回目となる由緒ある花展で、毎年50を超える流派が出瓶して賑わっています。大阪府花道家協会は、「花道を通じて社会文化の昂揚発展に寄与し、会員相互の資質向上と福祉厚生を計る」ことを目的に発足されました。会員は、大阪府在住の花道家です。大阪支部からは、現在33名の先生方が登録しています。

大阪府花道家協会 第55回いけばな大阪展での作品(2021)

伝統文化こども教室の風景

大阪支部主催の伝統文化こども教室は、次世代にいけばなの魅力を伝えるため何十年も続いている毎年恒例のお教室で、各地域で開催しています。最初はおっかなびっくり鋏を触る小さな子たちも、持ち方や花の切り方を丁寧に伝えると最後には驚くほど上手に使いこなしてしまいます。お兄ちゃんと一緒に来ていた幼稚園の子が一生懸命にお花と向き合っている姿を見るととても可愛くほっこりした気分になります。こども教室や学校連盟で小原流に親しんだこども達が、いつの日か小原流に戻ってきてくれること願いながら、卒業の日に賞状をお渡ししています。

そういえば随分前の話しになりますが、卒業の日にとても背の高いお父さんが会館にお見えになられたことがあります。その方は帽子を目深に被られ、目立たないよう隅の方にいらっしゃったのですが、誰ともなく「吉本新喜劇の小籔千豊さんや。」という声が。私が「おはようございます。今日はお仕事お休みですか?」とお声がけしたところ、「はいっ」と、恥ずかしがりながらも丁寧なお返事をいただきました。カメラがお好きなのか熱心にお子さんの姿をお撮りになられていましたが、その後、「こどもがいけばな教室に通っていて、見学に行ったときに先生に見つかった。」とテレビでお話しされていました。その中で小籔さんもおっしゃっていたのですが、若い世代が伝統文化に触れる事はとても貴重です。これからも、少しでも多くの子どもたちにいけばなの魅力を感じてもらえるよう、支部一同お教室開催を続けてまいりたいと思います。

コロナ禍での研究会運営について

コロナウイルスによって、去年、一昨年と研究会が随分と中止となりました。これまで当たり前だったことが出来なくなり、これからどうなるのか予測がつかない中、会員の皆様も本当に大変だったと思います。他支部の皆様も同じだと思いますが、取合せなどが全て決まったあとに止む無く中止にしたこともありました。
そんな中、大阪支部では小原流いけばなへの想いを繋ぐために会員の皆様にお手紙を郵送しています。研究会が中止になると次の取り合わせがお渡し出来ないので、季節を感じていただけるお手紙とともに次回の研究会参加を促しています。会員の皆様の不安を少しでも和らげるべく感染対策も万全におこなっていることも記載しています。このお手紙を出したことで、次の研究会で50名以上参加者が増えたこともありました。
大事なことは、会員の皆様と繋がり続けることだと思っています。支部から何も連絡が無いと、会員の皆様はやはり不安に感じ、孤独感を感じられる方もいらっしゃるように思います。支部からアクションを起こすことで小原流を心に留めていただくこと、それによって会員の心が繋がることが支部の存続に本当に大切ことなのだとコロナ禍で改めて感じました。

そして今月、今年初めてとなる研究会を開催したのですが、650人以上の会員の皆様にご参加いただきました。お会いすると「開催してくださってホッとしました。」、「やっとみんなと会えましたね。」といった喜びの声を耳にし、「やっぱりみなさん、研究会を待っていてくださっていたんだ」と心から実感するとともに、支部活動の根幹はやはり研究会なのだという想いを強くした次第です。

大阪支部では、独自に10年、20年、30年、40年の皆勤賞を設けて賞状と副賞を贈呈しています。今年は40年皆勤の方がいらっしゃるため、消毒などの感染対策を万全に行い、可能な限り研究会を開催したいと思います。これもひとえに研究会運営に尽力してくださっている役員の先生方のお陰です。本当にありがとうございます

会員の皆様は我が家族

研究院助教授としてとある支部の研究会にお伺いした際、ずっと研究会をお休みされていた方が、(研究会に参加されるのではなく)思いがけずお見えになったことがありました。「どんな対応をされるのだろう?」と興味深く見ていたのですが、その支部長先生は「よく来てくれましたね、〇〇さん。お会いできて本当に嬉しいです。今いけ終わった花があるからぜひ中で見ていってください。」と、とても優しく、まるで家族のようにお迎えされたのです。私はこれまでそんな先生とお会いしたことが無かったのでとても感動したことを覚えています。

支部長となった今も「支部長とはかくあるべき」と、この場面をいつも胸に刻んでいます。そして、研究会では出来るだけ受付に立ち、お越しになられた会員の皆様の顔を見て「おはようございます。」「こんにちは。」のご挨拶をさせていただいています。会員にとって支部というのは、小原流いけばなの技術研鑽の場であることはもちろん、人と人が出会い、繋がっていく場所でもあります。会員の皆様にとって支部を居心地の良い場所に、また、何かあってもいつでも戻って来られる場所にするために、支部長は「お母さん」のような心でないと務まらないと感じています。
先述の支部長から感じた言葉は「会員の皆様は我が家族」。この言葉とともに、優しさや温かさをもって会員の皆様と接し、これからも支部運営に尽力いたしたいと思います。

そして最後に、2020年の大阪支部創立110周年記念花展は残念ながら中止となってしまいましたが、大阪万博開催の2025年は支部創立115年となります。万博とも関わりを持ちながらその際はぜひとも開催したいと思いますので、引き続きご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

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今年初の研究会の3日前にお邪魔してインタビューをさせていただきました。準備でお忙しいにも関わらず、支部長、副支部長が和やかにご対応くださりました。吉田先生、副支部長の先生方、お忙しいところお時間をいただき本当にありがとうございました!

小原流大阪支部

1910年(明治43年)、流祖 小原雲心先生が「小原式国風盛花」を名乗られたことが発祥の大阪支部。大阪・小原流研修会館3階に支部事務所があり、営業日は毎週月・水・金曜日の10:00~16:00です。

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今回の「小原流の事務局報」では、ひな祭りのお花を大特集!
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