愛媛県連主催 講習会
コロナの影響で2年間開催されなかった愛媛県連行事の講習会が、昨年4月24日に松山市総合コミュニティセンターで行われました。
4支部合同で111名が出席されましたが、まだコロナ感染の心配もあることから、昨年は安全を優先し、花をいけるのではなく、会員の意識を高めたいという思いから、愛媛県知事の中村時広様を招いて講演会を行なったそうです。
小原流松山支部 相原 豊樹先生
相原先生は財団理事であり、県連会長も兼任され、松山支部で活躍されております。
また、愛媛新聞の学芸欄に半年間26回エッセイを掲載され、それをまとめて「しあわせは心で感じるものだから」という本を出版されると、7週連続ベストセラーになるなど、小原流以外でも活躍されてきました。
出版された本のご縁でラジオ局から依頼され「熱中 夢トーク」という番組にゲスト出演されましたが、その時のDJが中村知事だったということでした。
まず最初に、相原先生と中村知事がラジオで対談されたお話からお聞きしました。

-出版された「しあわせは心で感じるものだから」がベストセラーになり、ラジオに出演されたとお聞きしました。知事がDJをされていたのですね。
中村知事は市長時代にラジオのDJを週1回されていました。
私が支部長になって3~4年たった頃でしたが、1週間に1回放送のラジオ番組に2週連続で呼んでいただきました。1回20分の番組でしたので、小原流についても色々お話する事が出来ましたし、そのおかげで松山支部の事をしっかり認識いただいたように思います。
ー中村知事とは以前からお知り合いだったのでしょうか。
そうではありません。
初めてお会いしたのは、25年くらい前になります。松山支部の50周年花展の開展式と祝賀会にご案内したのが最初でした。笑顔が素敵でとても好印象でした。市長になられてからも、松山支部の記念行事には全て出席いただきました。
また、5年後の松山支部55周年講習会では、いけばなデモンストレーションの2部として、中村知事(当時は市長)と天野祐吉さんとの対談を企画しましたが大盛況でした。また翌年には、高島屋さんの依頼により、正岡子規・砥部焼と小原流をコラボさせ「郷土を奏でる子規・花・砥部焼」をテーマに、高島屋のリニューアルオープンで花展を開催いたしました。
こうした30年近くの長いご縁があったおかげで、現在でも知事には、小原流松山支部の事をとても気にかけていただいており、有難く思っております。
ー中村知事はどのような方なのでしょうか。
コロナ禍に厳しい事をお話しをされていても、その言葉の奥にある温かみを常に感じました。
政治家は反感を持たれる事も多いと思われますが、そんな話はあまり聞いておりません。
司馬遼太郎の「坂の上の雲」を人生の指針とされており、実直でひたむきな方です。
-中村知事は司馬遼太郎の「坂の上の雲」について講演されたとのとの事ですが、どのような公演内容だったのでしょうか。
「坂の上の雲」に登場する彼らのように、どんなに状況が厳しくても目標に向かってひたむきに生きていく事が大切であるというお話でした。
夢や目標というのは個人個人が持つものであって、大きくてもいいし小さくてもいい、規模の大小や中身ではなくて、みんなが持つということが大事なんだとおっしゃられて、知事の言葉に勇気をもらえ、背中を押された気がいたしました。
ー中村知事は司馬遼太郎の「坂の上の雲」を県政にも取り入れていると伺いました。
司馬遼太郎の「坂の上の雲」は、人生を変えた本であるとおっしゃっていました。
司馬作品と知事の出合いは15歳の時だったとのこと。高校入学早々登校拒否、補導される事もあったようですが、司馬作品と出会った事で人生が変わり、苦しい時や辛い時には「坂の上の雲」のあとがきに目を通し、前に進んできたそうです。それは現在も続いています。
市長になられた時に「坂の上の雲のまちづくり」を展開し、「坂の上の雲ミュージアム」も開設されました。「坂の上の雲」の努力し続ける精神を忘れずに、現在も県政に携わっていらっしゃいます。
※「坂の上の雲」あとがきから
「目の前の坂道の上に浮かぶ雲、それが夢や目標だとしたら、その目標をつかむためにはやっぱり坂を登っていくだろう。」「その思いが強ければ強いほど、坂道を登る苦しさというのはやりがいに、辛さというのは生きがいに、さらにしんどさは感動に変わるはずだ。『坂の上の雲』というのはそういう意味なんだと。」
-講演会を聞かれた皆様の反応はいかがでしたか。
「どんな年齢であっても、夢や目標を持ってひたすらに生きる」というメッセージは年齢を超えてどの人の心にも響いた事と思います。
10代という若き日、苦悩したその事を語られた事によって、こんなに立派な方でも過去があり、努力されて今があることに感動したとの言葉が多くありました。
ー中村知事から講演後の感想などいただけましたか。
小原流の皆さまとは、長いご縁で様々なイベントに参加させていただきました。お家元ともお目にかかることができ、沢山の思い出があります。 とおっしゃっていただけました。
ー最後にイベントを通じて相原先生の感想をお願いいたします。
コロナ禍では、オンラインでしかいけばなを出来ない時期がございました。
これからは、対面よりオンラインの時代になっていくのかと少し寂しく思っておりましたが、知事に「このままの状況ではいけない。対面して学ぶ以上のものはないですよ。」と力強く言われ、力が湧いてきたのを思い出します。
また、知事の講演を聞いた皆様の反応を見て、人は過去に苦しい事があっても、それをさらけ出すことがいかに多くの人の心を打つのかと、人として大切なものを学ばせていただきました。
今回の講演会は、コロナ感染の不安から2年間県連行事をストップした結果考えた苦肉の策でした。今後は、いけばな指導学習に加え、このようなかたちの県連行事も良いのではないかと考えるきっかけになりました。
「どんな年齢であっても、夢や目標を持ってひたすらに生きる」という中村知事の言葉には、私たちも力をもらえました。コロナ禍でストップしていた様々なイベントも、徐々に通常に戻ってきております。
私たちも、先生方の力になれるにはどうしたらいいのか考え精進してまいります。
相原先生、本日はありがとうございました。