いけばな豆ちしき VOl.3 「いけばな」という名称について

小原流会員の皆さまはもちろんの事、日本人の誰しもが使用する「いけばな」という言葉。
その誕生の当初から「いけばな」と呼ばれていたかというと、実はそうではありません。
いけばなは時代の変遷に応じて様々な様式が生まれて、それがその時代の「いけばな」の名称となっている場合が多いとされています。
例えばいけばな誕生の初期、今でいういけばなは「たて花」、江戸初期に「立華」が誕生すると立華が当時のいけばなの名称となりました。
当時、私たちが使用している感覚でいけばなという時は、立華と呼んでいたということですね。
その後、茶の湯の流行により茶室の花が生まれると、単に「花」「お花」と呼ぶようになりました。
そして江戸時代に「抛入花」が愛好されて、江戸時代中期に「生花(いけはな)」の誕生に繋がります。
この「生花(いけはな)」の普及により、「いけばな」が一般的な名称として今に至るまで使用されています。
明治以降、「盛花」「投入」が新たに誕生すると、それとの区別の必要上から「生花」を「せいか」「しょうか」と呼んで、総称としては「いけばな」が用いられるようになったそうです。

私たちが普段使っている「いけばな」の名称、思いのほか最近誕生したように思いませんでしたか?。
これと似たお話で、現在当たり前に使用している「着物」という言葉も実はその誕生は明治時代。
「洋服」流入に伴い、区別のために日本で着ていた衣類を「着物」と呼ぶようになったそう。
伝統文化というジャンルに位置付けられているものを思うと、その名称も誕生と共にあるようなイメージがありますが、そうとは限らないという一例でした。
今回の豆知識は「いけばなの名称」についてお届けいたしました!
次号も楽しみに!

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