ケニオン大学美術助教授がいけばなから着想を得た作品を発表!(東京支部)
「小原流の事務局報」の編集を担当している、小原流マーケティング課の福田です!
私は小原流本部に勤める傍らで、専門教授者として小さな教室を運営しています。
教室を運営していると、普段の生活ではなかなか出会うことのできない人との出会いに恵まれることがあります。
そんな出会いの一つについて、今回の事務局報にて紹介させてください!
「アメリカの大学で美術を学びたい、作品制作のために日本の文化からも作品のヒントを得たい」
...という高い志を持った美大の卒業生が友人の紹介で私の教室に遊びに来て、小原流に入会したのが今から約9年前。
それから論文作成、作品制作、展示などの忙しい中で時間を見つけて教室に足を運んでくれていました。
掲げた目標に向き合って努力を続けた結果、作品がアメリカの大学教授の目に留まり美術大学の客員教授として渡米決まったのが7年ほど前になるでしょうか。
彼女の名前は石村まなみさん。
渡米後も日本への帰省の度に小原流いけばなの教室に足を運んで、アメリカの生活についてあれこれ話をしながらお稽古を楽しんでくださっています。
そんな石村さんがこの度、念願かなってアメリカ ケニオン大学の美術助教授に就任いたしました。
就任にあたり制作した作品は、いけばなの哲学にヒントを得ているとのこと。
石村さんの語る作品のコンセプトから、いけばなの魅力を再発見いただけましたら幸いです。
※石村まなみさんの活動の様子は石村さんのInstagramでも紹介されています。
ケニオン大学美術助教授 石村まなみ
1987年生まれ。多摩美術大学美術学部彫刻学部出身。
アメリカのテキサスA&M大学コーパスクリスティで修士を取得。
アメリカを中心に活躍しアーカンソーテック大学の客員教授を経て、2022年よりオハイオ州にあるケニオン大学で助教授として教鞭をとる。Masur美術館、琵琶湖ビエンナーレ、Wichita Falls美術館など国内外で作品を発表。
Vision2020の受賞、Widgate Foundationのレジデンスプログラムに参加、アーカンソーテック大学のパブリックコレクションに作品が選ばれるなど幅広く活躍する。
渡米前から小原流いけばなを学び、現在も帰省中には教室に足を運んでいる。
※石村まなみさんの活動はInstagramでも紹介されています。こちらからご覧ください。
作品「En 円」といけばなについて
いけばなのはじまりの一つに、仏さまに花を捧げる行為があることを、小原流のいけばな教室で知りました。季節の花を摘み、手を入れ、活ける。その生のかたちを最大限に活かし、器の中にその美を表現する。
そこに死と生を内包させた形が器の中に現れる。
その間(ま)の余韻を内包するように花は儚くもより美しく活かされる。この感覚は瞑想の修行をしていたときの自分と重なるのです。
瞑想中、意識が身体から遠のく、その瞬間、呼吸だけが体と意識を繋ぎとめていました。瞑想は生きモノとモノとの境目の曖昧さを実感させます。
例えば、種は生命体としてはあまり認識されないけれど、一度芽生えると、私たちは生命を感じます。
その境目はどこなのでしょう?瞑想していると、体が鉛のように重くなり、身体が自分ではないような実感を受けます。ただ、呼吸だけは私のかすかな意識と呼応するのです。
この作品は瞑想の修行をしていた時の経験といけばなの哲学から発想を得て制作しました。
作品「En 円」では枯れ落ちた枝を拾い、手を入れ、アクリルボックスの中へ"いけて"いきました。アクリルの箱はその枝の生と死を内包するように囲い、枝はその箱の中で生きていた瞬間を切り取ったように活かされる。枝の織りなす線はつながり円となる。
一つ一つの生き物の形を観る力をいけばな教室で学びました。生き物がどのような時を過ごしたのか、形の中から見出し、それを最大限に引き出し活ける。そして花たちがどのように呼応していくのかを見定めながら器の中へ送っていく。
先生にはその作法や見る力を優しく教えていただきました。
いけばなは常に私が見えているものを最大限に活かして、その先を見せてくれます。お教室でお花に触れる時間は、生というもののいろいろな側面を見せていただける貴重な時間です。
...いかがでしたでしょうか。
教室では高尚なことにはほとんど触れずに小原流いけばなのカリキュラムに沿って指導しているだけの私ですが、生徒の方でいけばな魅力を感じて作品や言葉にして表現してもらえて、大変嬉しく思います。
※手前味噌で大変恐縮です!
同時に小原流いけばなにはそれだけの魅力があると確信いたしました。
全国各地の教室で活躍している生徒さんがいらっしゃいましたら、ぜひ小原流マーケティング課まで情報をお寄せください!
そして「小原流の事務局報」にて、その活躍の様子をぜひぜひ紹介させてください!
関連記事
この人に聞く!vol.1アレイ・ウィルソン先生
全国各地で活躍している先生にインタビュー!
2022年4月号では東北学院大学で経済学の教授の傍らで、小原流仙台支部副支部長を務めるアレイ・ウィルソン先生にお話を伺いました。
詳しくはこちらから。
「太閤うどん」での店舗挿花を担当する広島支部 鈴木榮子社中の取り組みをご紹介(広島支部)
広島支部 鈴木榮子先生の社中は、「太閤うどん」の店舗挿花を担当しています。そちらで飾るようになった経緯からいけこみの様子、作品等を鈴木先生にご紹介いただきました!
詳しくはこちらから。
小原流研究院講師 蛭田藤虹先生が川崎市立下平間小学校にて、いけばなの授業を担当いたしました(東京支部)
川崎市立下平間小学校で行われた出前授業「良き日本文化に触れよう」でいけばなの授業を、小原流研究院講師の蛭田藤虹先生が担当いたしました。
詳しくはこちらから。