全国支部紹介vol.7 小原流春日部支部
小原流は全国に144、そして国外には89の支部があります。皆さんが在籍している支部がそうであるように、それぞれの支部に設立のあゆみや特徴、現在の取り組みなどがございます。本ページにて毎月、全国支部を1支部ずつご紹介いたします!今回ご紹介するのは小原流春日部支部です。六代支部長 堀切玉寛先生にお話を伺ってまいりました。
小原流春日部支部 支部長 堀切玉寛
1968年 小原流入門。
2018年に小原流春日部支部支部長に就任。いけばなを学ぶ傍らで日本フラワーデザイナー協会の名誉本部講師や、国家検定1級フラワー装飾技能士の資格を取得しており、お花にまつわる知識や技術を向上させている。
みんなの花展のひな型となった「地区展」の開催
小原流春日部支部についてお話するにあたって、関根玉富先生についてお話しないわけにはいきません。
1965年に小原流埼玉県支部が発足いたしました。その時支部長として埼玉の小原流を盛り上げたのが関根先生です。
埼玉県内で支部に分かれてはいなかったのですが、1979年会員数の増加により県内で7つの支部に分かれて、現在のかたちとなりました。
時流の助けもあって華道会が、小原流が盛り上がっていた時代ではございましたが、支部展ではなく「もっと小原流のPRとなるような花展をしなければならない」という関根先生の方針により、7つの支部で「地区展」が開催されました。
それがひな型となって、現在全国で展開されている「みんなの花展」になったと伺っております。
関根先生が強いリーダーシップを発揮されていたお陰で、関根先生亡き今も埼玉県は各支部が仲良く連絡を取り合って支部運営をしています。
ただ関根先生がいらっしゃるときは、緊張感もございました(笑)。
支部役員として活動していた時の、ピリピリとした空気を今でも覚えています。
現在の春日部支部はとても明るく、楽しいです(笑)。
研究院の先生方も、支部審査にいらしたさいにとても驚かれます。
春日部支部の運営について
-こしがや能楽堂でのみんなの花展は動画にも残されていましたね!若手の幹部がいらっしゃるのですか
残念ながら、幹部のなり手は増えてはおりません。皆さん忙しくされているので、声がかけにくい状況です。
しかし現在の若手幹部には、本当に助けられています。
一人PCを自由に使える幹部の方がいらっしゃいますので、支部広報の仕事をお願いいたしました。
そういたしましたら各種PRツールやお知らせ、動画の作成まで自主的にやってくださったのです。
やる気のある方にお任せすると、時代の流れに沿った面白いことに繋がるのだと実感しているところです。
またそうした力も働いて、現在の支部内の連絡はほとんどLineで取っています。
スマートフォンを持つことすら怖かった時代もありましたが、便利さは人を変えていきますね(笑)。
できない!と言っている先生にもやってみれば楽ですよ!と声をかけています。
いけばな花材プロジェクトへの取り組み
-春日部支部では、いけばな花材プロジェクトの花材を研究会に多く出題されていますね。決してお安い花材ではないと思うのですが、ネガティブな意見などはないのでしょうか。
春日部支部の研究会のムードといたしましては、「良い花材を使って、良い勉強をする」ことです。
会員の方から「小原流の表現で大切なものが勉強したい」という声をいただくことが多い支部です。
変に配慮をしてしまって、「安く手に入る花材を、できる表現に当てはめる」ような出題したほうがクレームになってしまいます(笑)。
「いけばな花材プロジェクト」に選ばれている花材は、小原流にとってどれも大切な花材であると理解しております。
選ばれた花材は限られた季節にしか触れないものです。またそれぞれ扱うにあたり、小原流独自の挿法が必要です。
いけばな花材プロジェクトの対象花材を研究会に取り入れれば、一年を通して小原流の技術を学ぶことができます。
会員はせっかく小原流を習っていて、休みの日にまで時間を割いているのですから、研究会はそうした技術の学びの場であるべきと考えています。
支部の意向でというより、会員からの希望であると思っています。
またいけばな花材プロジェクトの対象花材に限ったことではないのですが、研究会に取り入れなければ特別な花材を使ったお稽古をすることができません。
例えば1~2名の生徒のために蓮をお願いしても、そのためだけにお花屋さんも入荷できません。
研究会で出題することで、お教室にも特別な、いけばなならではの花材を流通させることができる。
そうすれば研究会に出席していない会員の手元にも特別な花材を届けることができる。
お花屋さんもロスがない。生産者もやる気になる。良いサイクルになっているのではないかと思います。
支部の花を見てくださっている花勘さんと支部との関係が良好なのも、よい花が触れる機会に繋がっていると思います。
手に入りにくい花材も必ず探してきてくださいます(笑)
本当に、お世話になっています。
研究会について
小原流の研究会は技術の研鑽のためにも、技術を後に繋げていくためにも欠かせない、素晴らしいものだと思っています。
使えなくなってしまっては寂しいです。
そのため「いけばな花材プロジェクト」対象花材はもちろんのこと、少し難しい花材も積極的に使っています。
先日メールマガジンにて紹介いただいた燕子花の講習会は会員にも大好評でしたので、秋にもどこかで勉強できないか考えているところです。
研究会が、小原流の表現が、私も大好きですので、会員の皆さんと一緒にいけて、採点していただいています。
先代支部長の頃からそうだったように思います。
立場としては支部を運営している側ではございますが、勉強の場ではフラットでいたいと考えています。
85点をいただくこともございますが、会員の前で恥をかいたという気持ちは一切ございません。
個人の勉強の場ですから。
昔は研究会を楽しくする工夫として、花材未発表、点数なしの「自由クラス」という研究会も行っていました。
スリルがあって良いし、いきなり手にした花材をどういけるか、技術も問われます。
現在は諸問題がありなくなってしまいましたが、また何か面白いことができないか、考えているところです。
支部の取り組み
現在はコロナ禍ということもありなかなかできておりませんが、支部の親睦も兼ねて、バス旅行などなども企画しています。
以前には、軽井沢のダリアセンターやイングリッシュローズガーデンにて薔薇の鑑賞に出かけたり、ジョイフル本田新田店のイングリッシュガーデン園内散策とガーデナーさんの指導で寄せ植え講習会等企画して親睦を深めております。ここしばらくは、コロナの為もあり途絶えてるのが残念です。
春日部支部からは常日頃よりメールマガジンに多く情報を寄せていただいており、また「いけばな花材プロジェクト」対象花材をかなり多く使用されています。その実績から、この度インタビューを組ませていただきました。急なお願いにもかかわらず快くお引き受けいただいた春日部支部の堀切先生と、またその傍らで現支部長の活躍をニコニコと見守る斉藤先生の優しいお姿が印象的でした。
先生方、誠にありがとうございました!
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