全国支部紹介!vol.5 札幌支部

小原流は全国に144、そして国外には89の支部があります。皆さんが在籍している支部がそうであるように、それぞれの支部に設立のあゆみや特徴、現在の取り組みなどがございます。本ページにて毎月、全国支部を1支部ずつご紹介いたします!今回ご紹介するのは小原流札幌支部です。十一代支部長 藤谷道代先生にお話を伺ってまいりました。

小原流札幌支部 支部長 藤谷道代

1970年 小原流入門。
母親が自宅でいけばなを教えていたため、もともと花が身近にあり、欠席した生徒の花を自然に生けて過ごしていた。大学を卒業した年に、地区別教授者研究会で学科試験があると知り、勉強に飢えていたのでひたすら暗記。その際に文章で覚えていたことが実際に再現できた時の喜びが大きく、全ての表現をいけてみたくなり、小原流いけばなにのめり込んだ。
1995年から2009年まで、小原流研究院講師として活動し、2020年より札幌支部11代支部長に任命。
現在、日本いけばな芸術協会常任委員、北海道いけ花連盟常任理事。

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札幌支部の歴史


札幌支部の歴史は大正8年の夏、2世家元小原光雲先生が初めて札幌に足跡を刻まれ、その後「札幌リリー会」を結成。小原流国風会をへて現在の札幌支部となりました。
三世家元豊雲先生は、昭和41年に「メキシコをいける」、昭和43年に「盛花の一世紀・小原流全道展」、昭和50年には「三代流派家元展」や、四世家元夏樹先生を迎えて「花+ファッション」の講演会を開催いたしました。
5代支部長南波先生は昨年から支部にはお顔をみせて頂けませんが、現在101歳でお電話では元気な声でお話ししていただけ、多くの生徒さんを育て支部行事にも多く参加して貰っています。
9代支部長綾部先生、前支部長である10代支部長横井先生はお元気に教授活動をなされ、多くの生徒さんを育ててくださり、支部を支えて下さっております。支部運営で迷ったり、困ったときはすぐ相談をさせてもらっております。その都度的確な答えをいただき、大変ありがたく、頼りにしています。
札幌支部は道民の特徴でもありますが、新しい方とすぐ仲良くなります。皆仲間というフレンドリー気持ちで接します。長い厳しい冬を耐えて、春を待つには力を合わせ、協力して乗り越えるという感覚が自然に身についているのだと思います。

四世家元との思い出


-藤谷先生はいつ頃から札幌支部での活動をされていたのですか?

池坊、草月流、小原流の三代流派が参加した昭和50年「三大流派家元展」の頃には既に会員でした。
まだまだ何の心得もない頃でございましたが、お手伝いにも参加させていただいております。緊張感で張り詰めた会場の空気と、「24:00を過ぎてからが本番」という言葉に驚いたことを覚えています。冗談だと思っていたら、花展のいけこみが終わったのは朝の5:00でした(笑)。
準備のために札幌市内の制作場を借りるほどの力の入れようと、家元や関係者に「美味しいものを食べさせないと!」と意気込んでいらした先生方の姿を今でも覚えています。
四世家元の「花+ファッション」の講演会の時は、支部役員の若手としてお手伝いさせていただきました。
四世とはラフというか、楽しく仕事をさせていただきました。
私たちが大きいパネルや大きい荷物を運んでいる時、手伝わずにポツンと立っている男性がいらっしゃいました。
「何で運ばないの?」と声をかけたらそれが四世家元だったというのは苦い思い出です(笑)。
「札幌はあっさりしている」というお言葉をいただいたりしました。
札幌は転勤で来たり、帰ってしまったりと出逢いと別れの多い地域です。そんな土地柄からなのか、新しい方とすぐに仲間になってしまいます。人の動きが目まぐるしいためか、新しいものを受け入れることにも全く抵抗がありません。
四世家元が初めての講習会を行ったのが北海道だったのも、そんな気風が感じられたからだとその頃の本部の担当者の方から伺いました。
実際に四世とも仲間という感覚で仕事をさせていただいて、色々なお話もさせていただきました。その頃のメンバーも支部に残っていて、現在も札幌支部を支えてくださっています。

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「花+ファッション」講習会の際の四世家元と藤谷先生(家元の右隣です)

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札幌支部創立50周年記念のパーティーにて、三世家元を先導する藤谷先生
後ろには四世家元と工藤和彦先生の姿も



札幌支部のHP運営


-札幌支部をインターネットで検索すると、支部HPはもちろんのこと、支部長を始め支部役員の先生方のHPがありました!HPの作成、情報の発信等のノウハウ共有をされているのですか?

「新しいものをすぐに受け入れる」ということと関わりがあるのかもしれませんが、私がまだ幹部だった時代、もしかしたら20年以上前位になるかもしれません。世界中でこれからはインターネットの時代だと叫ばれていました。
どうやらインターネットでHPを持つと、人が集まるらしい、という「噂」程度の知識しか持っていなかったのですが、どうしても作りたくなり、前支部長と話合って札幌支部に自作のHPを作りました。
HPが流行り出したころのHP作成ツールはとても面倒かつ難しいものでした。現在は感覚的に作成できる無料のHP作成ツールがあるので、それを利用しています。
特別な知識がなくてもPCがあれば管理できるので、担当者で管理しています。
支部役員と話している中で、「HPって便利だよ!」という話をしたら、興味のある人たちが自分でHPを作るようになりました。「新しいもの好き」ですから(笑)。

札幌支部のHPはこちらからご覧いただけます。

₋HPでは支部行事表や研究会花材、支部の活動など様々な情報発信をされていますね!会員の皆さまは見てくださっていますか?また、HP経由での問い合わせは実際にございますか。

研究会の際に一度、どれだけの会員が見ているか聞いたことがあります。研究会多くの方が見てくださっているようです。しかしやはり紙での情報提供がほしいという方もいらっしゃいますので、会報誌「花びら」は現在も発行しています。しかしそれも自分たちでデータ作成して、プリンターで印刷しているので経費はさほどかかっていません。
HP経由でのお問合せも、もちろん増えています。と言うか、支部だけではなく個人教場への問い合わせも、ほとんどHP経由です。




支部事務運営について



₋HPに限らず、支部事務等もデジタル化が進んでいるのでしょうか。

デジタル化というほどの事ではございませんが、各係の仕事はほとんどPCで運用しています。研修部は研究会の点数集計をエクセルで作って、自動計算しています。手計算より間違いははるかに少ないです。
係になった人が代々、自分が使いやすいようにカスタマイズするので、どんどん便利になっています。賞状のプリントや伝票整理ももちろんワードやエクセルです。
研究会受付と会場係(研修部)が連携することでよりスムーズになると考えています。どのように連携するか、係が運用に向けて準備中です。
事務処理についてはむしろ、本部のデジタル推進が遅れていて、まだかな、まだかなと待っているような状況ですよ?(笑)
支部役員は、支部事務を行うためにいるのではなく、よりお花に近い環境で、勉強できることがメリットだと思っています。ただ会場の都合上、事務を行う場所と研究会会場を分けざるを得ず、役員が勉強ができない状況になってしまいました。
役員からもお花の勉強がしたい!という強い要望をいただいたので、会場と事務室をzoomで繋げて、先生の顔と、講評が聞けるようにしています。会場で何が起こっているかも分かるので一石二鳥です!

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支部での打ち合わせの様子。いつも和気あいあいとしています!



PC導入時のお話



-本部の対応遅れ、本当に申し訳ございません!しかし多くの支部がPCやデジタルの使用を検討しつつも、導入をためらっているようです。理由はPC操作はもちろんのこと、新しいことに踏み切ることで「役員や会員離れに繋がる」というような不安があると伺っています。札幌支部ではデジタル化に舵を切った際、反発はなかったのですか。

「新しいもの好き」な道民性なのでしょうか?前支部長の横井先生がこれからは事務をPCで運用します!と言ったときに、反対した人は誰もいませんでした。実際、紙での管理、そろばんや電卓の時代から今に至る変遷を過ごしていると、はるかに楽になったことを実感しています。
あの頃の方が便利だった!という人は、名誉幹部を含めて誰もおりません。
分からない、できない事は恥ずかしいことではないので、積極的に任せたり、役員同士で情報共有をして、担当者同士で運用しやすくしています。
「本当にPCが分からない!」という方も、もちろんいます。しかし担当者にすると、旦那さんや役員に聞いてPCをいじっているうちに、何となく出来てきてしまうということも分かりました。
フォーマットも「これでなくてはいけない」という気持ちがないので、入ってくる若い人たちの能力でどんどん新しく、ますます便利にしていただいています。
支部長の私が全て管理してカスタマイズしているわけでは、決してございません。
ありがたいことです。
参与含め、役員との連絡はLINEで行っています。FAX廃止の検討もしているところです。

-それだけ進んでいると、支部にPCがいくつかあるのではないでしょうか。

支部のPCもありますが、担当者が自分のノートPCを持っています。それについても当たり前なので、クレームを言う人はほとんどいらっしゃいませんよ(笑)。
本部からの支部向けのPCのご案内も、丁度購入を検討していたところなのでありがたいです!