全国支部紹介vol.6 小原流大分支部

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小原流は全国に144、そして国外には89の支部があります。皆さんが在籍している支部がそうであるように、それぞれの支部に設立のあゆみや特徴、現在の取り組みなどがございます。本ページでは、毎月、全国の支部を1支部ずつご紹介いたします!今回ご紹介するのは小原流大分支部です。十代支部長 大滝 弘峰先生にお話を伺いました。

小原流大分支部 支部長 大滝 弘峰

1971年 小原流入門。
1994年に小原流大分支部幹部に就任し、大分支部青年部長(初代)時代には、野外展や自主研究会の開催等で活躍。その後、2002年に研修課程を修め研修士を取得。2014年には副支部長、2016年に支部長に就任し現在に至る。いけばな以外では、学生時代にはバンドを組まれ、現在はJ1復帰を心から願う大分トリニータのサポーターであり、BTSのARMY(BTSファンの意)でもある。

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大分支部の歴史


大分における小原流は、大正時代の中頃から昭和にかけてこの地に小原流の種を巻かれた柳田光真先生と、柳田先生の意思を継いで小原流普及に奮闘された初代支部長 三浦光鵄先生のご尽力の賜物です。
昭和29年に大分国風会として発足し、昭和34年には現在もお付き合いのあるトキハデパートで支部花展を開催。
それから毎年のように花展を開催し、昭和38年に現在の小原流大分支部の名前になりました。
大分支部は昔から社中の垣根があまり無く、時代時代の支部長カラーが上手く交わりあった風通しの良い支部です。
現在は幹部や準幹部も順調に育ち、支部運営にも前向きな意見が飛び交うとてもポジティブな支部だと感じています。



昔の大分支部

-大滝支部長と大分支部と関わりはいつ頃からだったのですか?

文字通り本当の親でもある親先生 玉井 豊泉先生(七代支部長)に中学生の時から支持し、その頃から大分支部研究会に通っていました。
当時は、会場が別府になったり、大分になったり、お寺を借りたりと様々な場所で開催されていて、自転車で研究会会場に通っていたことを思い出します。
そういえば、その頃はリヤカーで花材を運んだりしていましたね。

-現在の大分支部はとても仲が良くて垣根が無く、和気藹々と活動されている支部だとお伺いしました。当時の研究会もそんな雰囲気だったのですか?

とんでもない!
とてもじゃないですが普通に喋られる雰囲気ではありませんでした。
役員の先生方は常にビシーーっ!!としたスーツか着物をお召しになられていて、気安く話しかけられない、上の先生方は扉を閉めていけられているので見に行ってはいけない、掃除の際も準幹部しか出来ないなど、今の大分支部とはずいぶん違う空気感でした。
でも、当時はどこの支部もそうだったのかもしれないですね。
今思うと、礼儀作法や身嗜みの大切さ、場面場面における立ち振る舞い方などを教えていただいたことは財産になっていると思います。

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現在の大分支部について

-そこから現在の大分支部の風通しの良い雰囲気はどのように醸成されていったのでしょうか?

大分支部は昔から仲が良かったのですが、やはり歴代の支部長のカラーだと思います。
時代時代の支部長の特色が、大分支部というチームに合っていたのじゃないでしょうか。
考えてみると、大分支部は昔から社中間の垣根はあまり無かったかもしれません。
青年部の活動にしても基本的には社中を越えた活動でしたし、親先生も生徒がすることに「勝手にどうぞ」という雰囲気が強いように思います(笑)。

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-活動に際しての資金も自分たちで調達されているそうですね?

若手が青年部的な活動する際の資金はみんなで調達していますね。
研究会で優秀なお花が出た際、広報担当の皆さんが「写真花」として撮影し、それを研究会会場で販売しています。
今はお花を展示すると密集になり危ないので、写真を撮ってお渡しすることは会員の皆さんにもご好評いただいているようです。
それを原資に、いろいろな企画も考えてくれています。

ちなみに、私の時代は研究会でパンとコーヒーを仕入れて販売していました(笑)。
50個とか100個あってもすぐに売れてしまうんですよ。
余っても先生方が全部買ってくださいましたし(笑)。

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大分支部 支部役員への道筋

-とても自由で楽しい雰囲気を感じますね! 広報担当の方は準幹部の方々ですか?

準幹部の方、3人で活動してくださっています。
大分支部では、橋本前支部長の時からそうだったのですが、資格が二級家元脇教授になると準幹部なっていただくようにしています。
そして、準幹部の中には一級の資格をお持ちの方がいらっしゃいます。
その皆さんに次世代の幹部になっていただくようにしているのです。
準幹部から幹部になる選出基準の一つが、小原流の最高資格である一級家元教授であることとしています。

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-全国の支部では、仕事や家庭の事情でなかなか幹部役員になっていただけない悩みがございます。大分支部ではいかがですか?

大分支部では、幸せなことに「幹部になっていただけませんか?」というお声がけで苦労することが無いのです。
もちろん仕事の関係で幹部になれない方もいらっしゃいますが、逆に幹部になりたいから一級を取得する方もいらっしゃいます。

大分支部では、「研修員」という組織を作っています。
この組織は、支部研究会で様々なお手伝いをしていただく組織で、資格に制限は無く初等科でも入る事ができます。
この皆さんが支部内で順調に資格を取得して二級家元脇教授になられたら、先ほども申しましたように準幹部になっていただきます。
そもそも「準幹部になる=次の幹部になる」という意識がありますので、現幹部が定年になる際は、自然な流れで準幹部で一級の方が幹部になります。

みなさんには、「幹部になると幹部研修会にも行ける」、「今までとは違うお花の勉強が出来る」、「小原流内に支部幹部として登録される」といったお話しを常にしていて、それまでとは違う小原流の景色が見られることを伝えてきました。
そういった意識付けも、無理の無い新陳代謝の元になっているのかもしれません。
でも考えてみると、昔から「幹部にはなりたくてもなれない」という雰囲気があるのは確かですね。

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-一般の会員→準幹部→幹部になる道筋が根付いているのですね。とは言え、幹部と一般の会員を区分けしている雰囲気を感じないのが大分支部です。その際たるものが「TOSテレビ大分 ゆ〜わくワイド」の作品制作ですが、テレビ番組の作品制作と言えば幹部が担当するイメージがあるのですが!?

そうですね、幹部じゃないと制作出来ないという決まりはまったくございません(笑)。
この前、メールマガジンで紹介された方は当時中学生の男の子でした。
「テレビに作品を出したい方はどうぞーー!」とお声がけをしていますが、「無理ーー!」というお返事をいただくこともありますが(笑)、やっぱり自分のお花を表現したい方がいらっしゃるんですよね。
作品制作に関して准教授以上の方なら大丈夫だろう思ってお声がけしているので、准教授以上になれば「ゆ~わくワイド」で作品を制作できるというメリットも感じて貰えたら嬉しいですね。
立つ前に座る事を考えるのではなく、テレビ番組でいける経験はあまり無いでのぜひチャレンジしていただきたいと思っています。
多くの方に制作していただけるよう、もっともっと拡げていきたいと思っています。

「ゆ~わくワイド」の作品はこちら
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コロナ禍での研究会運営について

-現在の大分支部の研究会はどのような運営をされているのでしょうか?

研究会の担当受付を置き、その方に参加を申し込んでいただきます。
方法は、電話・FAX・メール・LINEです。
そこから花材の注文をいただき、花材のキャンセルは、(お花屋さんのご好意で)前日の午前中までOKです。
研究会当日は、朝8時30分に集合で、幹部・準幹部、お花屋さんのスタッフ含め30名以上のスタッフで運営しています。
メールやLINEで常に情報共有を行なっています。

-新型コロナウイルスが流行り出した2020年頃も、大分支部は研究会を積極的に開催されていました。

はい、大分支部の研究会については、本部からの通達があった時期以外は開催いたしました。
県自体もコロナで会場を使用不可にするということはありませんでしたね。
中止時期の分も開催がOKになってから改めてスケジュールに組み込みましたので、月の研究会開催日数が増える事になりました。
もちろん開催については反対のご意見も頂戴したのですが、不安な方は公休をお薦めするとともに、行政の感染対策担当者の方と綿密に連絡を取り合って、換気や消毒といった基本的な感染対策と、この参加人数だとこれくらいの距離を取るとか、濃厚接触者にならない間隔でいけ込むなど、プロのアドバイスに沿ってきちんと感染対策を行ないました。
具体的に言うと、参加人数を抑えるために4部構成で開催したり、机を2本合わせて1人がいけ込むというスタイルを徹底して行いましたね。

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准教授を丸専に!
「准教授になったら教えましょう」運動

-現在の小原流では、若年層の開拓と共に、専門教授者の減少も課題となっています。大分支部では、この問題に関する新しい試みを始められたそうですね!?

はい。
今年から幹部になってくださった方がご提案してくださったのです。
その方は、先日、豊友会の理事長に就任された梅津さんなのですが、梅津さんの提案で「准教授になったら教えましょう」運動を推進しています。
ご存知のとおり、准教授を取得すると小原流いけばなを教えることが可能になります。
でも、「自分が先生なれるのか」「指導に自信がない」「教室の開き方がわからない」などの理由で、多くの方が先生としての一歩を踏み出していないのが状態です。
そんな方々の背中を押すために、大分支部では、准教授以上の方が気軽に教授活動を始められるように支援を開始いたしました。
具体的には、梅津さんのご好意で教室を無料で貸し出し、「1人でもよいので教える事を初めてみませんか」というお声がけをしています。

これまで通り親先生に習いつつ早い時期から指導を始めることで、判断が難しいことを親先生に相談出来きます。
何もない状態で始めるより、親先生が居てくださったり、支部が支援することで過度なプレッシャーを感じず、気負わずに指導を始めることができると思います。
また、指導することで、これまでの学びを振り返ることが出来るので、自分自身も更に成長するのではないでしょうか。
生徒と一緒に成長できるってとても楽しいですよね。

-素晴らしい企画ですね!提案を受け入れて実施される大分支部も凄いと思います。いつ頃からスタートしたのですか?

今年の6月からです。
現在准教授の方と、その親先生も含めた専門教授者の皆さんに案内をお送りしました。
これからもっと告知して、皆さんのお伝えしていこうと思っています。
個人的に、良い企画はどんどん取り入れたいと思っていて、それを受け入れてやってみる土壌が大分支部にはあるのです。

フリーの方を救いましょう運動も!

-「准教授になったら教えましょう」運動とともに、もうひとつの企画も実施されているのですね。

はい、こちらも梅津さんの教室をお借りして、「研究会自習室」を開設いたしました。
近年、親先生がご指導を引退されて、フリーになる先生方が増えています。
その場合「お稽古ができないから」とか「独学で練習しても自信がない」といった理由で研究会から遠ざかっていくケースが散見されます。
そこで、研究会開催前の金曜日と土曜日に、自主的にお稽古が出来る「研究会自習室」を設置したのです。
この企画は、長年続けてこられた小原流いけばなと、安心して研究会にご出席いただくために企画いたしました。
また、親先生がご都合で研究会のご指導ができない場合も、生徒の皆様が利用することが可能です。
集まった皆さんが顔見知りになることで研究会への参加がしやすくなると思いますし、学び合うことで会員同士が繋がり、いけばなの楽しさも増すと考えています。
自習室の利用はお花代だけで、開催中は支部役員も待機しており、お1人からでも参加できます。

-フリーの皆さんには助け船になりそうですね! そして良い企画があればどんどん取り上げて実施する大分支部の気質がとても感じられます。

やってみてダメだったら、そこでもう一度考えましょうと言うことですね。
「Go! Go! Let's Go!」の精神でこれからも前向きに取り組んでいきます(笑)。

大分支部の作品展示について

2022年3月31日~4月5日まで、トキハ百貨店の本店で開催された「第47回 大分合同 諸流いけばな展」に出展いたしました。
大分支部の幹部、準幹部、高校生などの皆さんと会場に飾らせて頂き、多くの流派と関わることで大変良い刺激を受ける良い機会となりました。
第47回 大分合同 諸流いけばな展での作品はこちら
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また、7月9日~11日までiichiko総合文化センターアトリウムプラザで開催された大分フラワーフェスティバルに出品しました。
このフェスティバルは、大分県内のお花文化の振興を目的としており、いけばな作品の展示やフラワーアレンジメント教室など、お花に関わる様々なイベントが催されました。

大分フラワーフェスティバル出品作はこちら
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大分先生がお考えの「支部長として大切な事」とは?

一言で言うと「人を大切にする」ということです。
研究会や花展では会員の皆さんにお声掛けする為に、とにかく会場の中をウロウロしていますね。
話しかけると「あー、先生と話せたー!」と色々とコミュニケーションが取れるし、そこでその方の考えや気持ちが初めて判ることもあります。
日頃からコミュニケーションを取ることで、人手がいる時にも「手伝います!」と言ってくださったり、ピンチの際に助けていただいたことが何度あることか。
会員の皆様も、役員も、私のお教室の生徒さんにも、コミュニケ―ションを取ることを常に意識しています。
一人ひとりのお顔とお名前を覚えて、自分が出来る事をきちんとすることで、上辺だけではない人との繋がりが構築できると思います。
その積み重ねが、少しでも大分支部のプラスになっていればこれほど幸せなことはありません。

でも結局のところ、人が大好きなんでしょうね(笑)。

 

最後に、今後の大分支部のご予定は?

メールマガジンが発行される次の日から「みんなの花展」。
10月29日~30日が「おおいた食と暮らしの祭典」諸流いけばな展に出品いたします。
9流派が集まり、小原流だけで20作ほど出品する予定です。

そして来年は周年行事が控えていまので、その成功に向けて「Go! Go! Let's Go!」ですね!




今回のインタビューは、大分フラワーフェスティバルいけ込み前のお忙しい中でお話しをお伺いしました。大滝先生はとてもポジティブ!インタビュー中も色々とお気遣いいただき、とても温かい雰囲気を作ってくださりました。この空気感が、大分支部が活発な意見交換や企画実施を支えているのだと感じました。長時間の電話インタビューとなり大変申し訳ございませんでした。今後とも何卒宜しくお願いいたします!

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