全国支部紹介vol.14 小原流京都支部

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小原流は全国に144、そして国外には89の支部があります。皆さんが在籍している支部がそうであるように、それぞれの支部に設立のあゆみや特徴、現在の取り組みなどがございます。本ページでは、毎月、全国の支部を1支部ずつご紹介いたします!今回ご紹介するのは小原流京都支部です。支部長 赤尾 牧子先生にお話を伺いました。

小原流京都支部 支部長 赤尾 牧子

1991年 小原流入門。
大学ご入学時に和歌山から京都に来られた赤尾先生。
ご結婚後、京都・祇園で義理のお母様が営んでおられた料理屋さんにお花をいけるために小原流に入門されました。
お教室は、なんと舞妓さんや芸妓さんの教育機関「八坂女紅場学園」。
それから現在まで32年。
今もお稽古に通われながらご自身のお教室も運営され、昨年、京都支部支部長に就任されました。
エネルギッシュに活躍されている赤尾支部長にお話しをお伺いしました。

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京都支部の歴史

京都における小原流の歴史は古く、明治時代末期まで遡ります。
この時すでに小原流を学ばれていた初代支部長 杉本光月先生が中心となり、昭和2年に京都国風会が誕生したことが京都支部の始まりです。
それから現在まで、京都支部の諸先生方はどなたが支部長をされても当たり前と思えるほど人格があり、技術も優れていて本当に素晴らしいと思います。
これまでに京都支部の歴史を脈々と紡いでこられた先輩方に感謝しかございません。
それに比べ私は未熟で考えさせられることばかりですが、支部長職を一生懸命努めさせて頂きたいと思っています。



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赤尾先生と京都支部について

-「八坂女紅場学園」に通われるようになった経緯、小原流との出会いを改めて教えてください。

義母が祇園下河原で小料理屋をしていましたので手伝うようになった時、「お店にお花をいけられるように華道を習いに行ったらどう?」と薦められたことがきっかけです。
そこで、お店の常連さんでお隣にお住まいだった祇園甲部の芸妓さん、冨菊お姉さんに相談したところ、お姉さんに薦められるがままに八坂女紅場学園で華道を習わせて貰うようになりました。
当時のご指導は、明治~昭和の歌人 吉井勇先生の奥様だった吉井孝先生で、1ヶ月に7回の稽古がありました。
これが私といけばな小原流との出会いで、当時32歳の遅いスタートでした。
その後、八坂女紅場学園華道科は、第8代支部長山中豊昌先生、第9代支部長・現参与尾﨑豊雅先生に引き継がれ、私も32年、この場所でお稽古を続けさせていただいています。

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-和歌山から京都の祇園に来られました。環境が激変されたと思うのですが、昔から花街の世界に憧れがあったのですか?

いえいえ、全く成り行きです(笑)。
ただ、当時からお稽古は真面目に通い、地区別研究会も皆勤でしたので、意外と早めに1級家元教授を頂き、研修課程も修了しました。
先生方の御教授のおかげと感謝しています。

-支部研究会にも積極的に出席されていたのですか?

1992年からですね。
吉井先生がお亡くなりになったあと、第8代支部長山中豊昌先生が八坂女紅場学園でご指導されるようになりました。
山中先生に薦められて研究会に出席するようになったと思います。
当時は店の仕事と子育てで時間にゆとりがなく、研究会に出ても教えてもらったお花をいけることだけで精一杯だったと思います。
点数が付くことで緊張していて、回りの先生方に親切にしてもらっていたと思うのですが、不愛想で失礼をしていたのでは?と心配になります。

個人的には、1999年から華道と書道の教室を京都と和歌山で始め、行き来をするようになりました。
生徒さんは当初数名でしたが、徐々に人数も増え、それとともにやり甲斐も出てきて楽しく教えています。
書道を習いに来ている子たちにも、季節の行事に応じたお花をいける催しを企画したり、文化庁主催のいけばな親子教室も開催して地域の皆さんに楽しんでいただいています。

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-2010年には幹部に就任されました。

こちらも山中豊昌先生に幹部になることを勧められ、何もわからぬままですが「はい、いたします。」と答えたのを覚えています(笑)。
幹部になって印象的だったのは、京都祇園甲部歌舞練場で開催した2013年の京都支部85周年花展ですね。

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当時の支部長、尾﨑先生の時代からこちらで開催するようになりました。
準備がとても大変でしたが、会場が素晴らしい場所だったので感動したことを覚えています。

他にも、研修係時代の年末集計では先輩の家に集まり遅くまで作業をしたり、食事をしながら雑談したり、気心の知れた良い方ばかりで楽しかったです。
研究会の時には計算を間違えたり色々ありましたが、楽しい思い出です.
また、幹部の先輩から「着物を着られるようになりなさい」と言われ、着物教室に2年間通い資格を取得したこともありました。
準幹部になった時の同期はプライベートでも親友です。
現在は支部会計と研修の仕事をしてくれて、いつも私を支えてくれています。

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京都支部では、幹部を辞められたり名誉幹部に上がられたり、幹部を抜けられた先生がいらっしゃった場合、2年に一度、その人数に合わせて準幹部から幹部に上がることが多いですね。

-続いて2016年には副支部長に就任されましたね。

副支部長の仕事については、先輩の副支部長が凄く仕事のできる先生で、その方から様々なことを教えていただきました。
今でも大好きな先生です。
丁度その頃に京都支部創立90周年記念花展があり、副支部長としての仕事を教えていただきとても勉強になりました。

-そして昨年、2022年に支部長に。

2028年の京都支部創立100周年記念花展まで、現参与・尾﨑豊雅先生が支部長をして下さると信じていました。
尾﨑先生から支部長を退任するとのお電話を頂いたとき、何も考えられず動揺してしまいました。
「支部長をするともしないとも今は答えられません。」と、それだけを先生に伝えた事を覚えています。
尾﨑先生は、支部長として多種多様な事をしてくださっていたので、当時は具体的に何が不安で、支部内でどんな事が課題かもわかっていませんでした。
今になって、支部をまとめていろいろと判断し、リーダーシップを持って決断していくことがとても大変な事だと感じています。
例えば、京都支部の花材取り決めは研究会の2ヶ月前に、幹部全員で話し合って決めます。
その後、支部長と研修係のトップ、花屋さんで詰めていきます。
その際、気候急変や花材高騰、配送料の上昇など、思わぬことが起こり、なかなか決定できないことがあります。
今後は無理なく取り決められるように検討していきたいと思っています。

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-様々な課題を話し合われる際、京都支部の雰囲気はいかがですか?

言いたい事を言い合える支部だと思います。
キャリアの多寡に関係なく、自分の意見が自由に言える雰囲気ですね。
定例研究会後の会議で打ち合わせをすることが多く、そこで情報共有や意見交換を実施しています。
ITによる情報共有は今後の課題ですが、会計の方は今年からパソコンでデータ作成を行なっています。
その影響を受けて「私もパソコン買おうかな。」とおっしゃる方もいらっしゃいました。
ちょうど本部ともオンラインで繋がりますので、良い方向に向かえるように舵取りが出来ればと思っています。

-支部長になられて一年。現在の率直なご感想はいかがですか?

一生懸命に務めさせていただいており、正直、振り返っている余裕があまり無く(笑)。
研究会や行事が次々に押し寄せてくるイメージです。
京都は、京都いけばな協会の行事など催し事が多いのです。
「京都いけばな展」は5~6人で出瓶するのですが、幹部のなかで順番制にして、支部長は毎年出品します。
ほかにも「いけばなプレゼンテーション」、「祇園祭商店街いけばな展」など春から行事が続きます。
その際、他流はお家元が出瓶されることがほとんどです。
その中で、小原流の代表として出瓶させていただくことは勉強になりますが、毎回とても緊張いたします。

また、年に二度、中学校いけばな体験授業に幹部数名で出かけます。
子供達はお花に興味津々。
「小原流を覚えておいてね!」という気持ちでいっぱいで楽しいひと時です。

-幹部の先生方もお忙しいですよね。

そうですね。
今は私も幹部先生方も新しい仕事に一生懸命で、回りを見るゆとりが少し無い状態です。
早く慣れてくるといいなと思っています。
研究会も、幹部の先生方は運営で忙しいのですが、三部の勉強会や役員研修会にも出席いただき、勉強の機会を作っていただきたいと思います。
今回の役員研修会は出席したいと言ってくださる方が多くて嬉しいです。

-準幹部の皆さんはいかがですか?

現在準幹部は、研究会やみんなの花展などで準備や片付けなど幹部に協力してくださっています。
皆さん仕事や家庭をお持ちで忙しいため、今後は準幹部の更にサブ的な皆さんを募って朝や夕方だけ手伝っていただいたりと、お手伝いいただく選択肢を増やすことも考えないといけませんね。

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-研究会運営(準備から開催当日まで)はどのようにされているのでしょうか。

研究会の花材通知は、会員さんには1ヶ月くらい前にお渡ししています。
開催前週の月曜日に出欠届を担当役員に提出いただき、最終確認は2日前です。
当日は800から幹部・準幹部で会場準備をし、900開始~1700終了。
片付けのあと1900位まで幹部会議で花材決めや諸々の行事の打合せを行なっています。

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-京都支部では、研究会開催後に勉強会も開催されていますよね。

定例研究会の三部で実施しています。
三級家元教授以上を対象に、少し花材費は高くなりますが入荷しにくい花材などを使い開催しています。
また、西陣織会館では、社中の枠を超えて気楽にお稽古ができる場所として、京都支部長が指導するカルチャー教室を開催しています。
このところ社中無しの先生方が増えていることを実感していて、親先生が高齢の方はお稽古日が少なくなったりなど、様々な問題が生じています。
いろいろな事情で親先生との縁が薄まり、それでも小原流は続けたいという方のために、このような受け皿は大切だと感じています。

-日々、支部運営にご尽力いただいている赤尾先生が感じられる「支部長として大切なこと」や、「支部をまとめるために必要な事」など、先生が重要視されていることを教えてください。

いつも京都支部のお仕事に尽力してくださっている役員の先生方、会員の皆様に感謝する気持ちだと思います。
そして私自身がもっと成長して、一緒にやっていきたいと思ってもらえるような人になることだとも思っています。
人に優しく接することで何かが始まることもありますし、もっともっと皆さんに優しくなりたいと思います(笑)。
お花の技術も身につけないといけませんし、大変ですがとりあえず頑張っていかないとと思うだけです。

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<今後の京都支部のご予定>

4/6~4/11:京都いけばな展@京都大丸百貨店小原流は後期4/94/11出瓶)

6/3~6/4:いけばなプレゼンテーション@京都芸術会館

7/15~7/17:祇園祭商店街いけばな


和歌山から京都・祇園で小原流いけばなと出会われた赤尾牧子支部長。
吉井先生、山中先生、そして尾﨑先生に師事され、現在も八坂女紅場学園で研鑽を積まれています。
現在は京都支部支部長として多忙な毎日を過ごされながら、支部の発展にご尽力いただき、また、今回は貴重なお時間を頂戴し本当にありがとうございました。
今後とも何卒宜しくお願いいたします!

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現在配信中のNetflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』に出演され、京都・五花街の祇園甲部で活躍されている尾﨑先生。
小原流との出会いや専門教授者活動、尾﨑先生と花街について、京都の魅力や京都支部でのご活躍について、作品写真の掲載とともにお伺いしました。


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