この人に聞く!vol.17 小原流富山支部 山村 和子 先生
山村 和子 先生
2014年より富山支部支部長を務める山村先生。
山村先生は支部運営の他に、富山県主催の「富山華道連合会」で花展を年間5件以上携わっています。花展の運営について、今までのいけばなの指導について伺いました。

小原流との関わり
-小原流との出会いについて教えてください。
学生時代に東京で小原流のお花を見たことがきっかけです。
昔は別の流派でいけばなを習っていましたが、その時にみた小原流のお花が新鮮で記憶に残っていました。
地元に戻り就職した先に小原流の先生がいることを知り、学生時代の話をするとお稽古に誘っていただけました。22歳か23歳の頃でしょうか。それからずっと小原流を続けています。
-支部との関わりはいつ頃からありましたか。
小原流を習い始めてすぐに富山支部創立5周年の式典にお手伝いで参加しました。
それから少し経った30歳の頃でしたでしょうか。専門教授者になると親先生からの誘いで支部役員になりました。子育てでお休みしていた時期もありましたが、お友達に誘われて復帰し、それからは休まずに続けております。
指導経験について
-山村先生は自宅に限らず、多くの場所でご指導されていたと伺いました。
自宅と、親が紹介してくれた会社と市役所の老人福祉課の三カ所で教えていました。
自宅教室は友達から教えてほしいと言われたのがきっかけで始めました。会社での指導は親が紹介してくれたのですが、知らぬ間に教えることが決まっていました(笑)。
市役所の老人福祉課での指導は、市役所の職員に知り合いがいて、教えに来てほしいと声をかけていただきました。市役所での指導は月曜日と日曜日がないだけで午前午後の指導を10年くらい続けていました。
現在は開催していませんが、弟子が専門教授者として活躍できるように公民館で子ども教室も運営しておりました。弟子をメインの指導者に立てて頑張って指導してもらい、私はサブとしてフォローしていました。子ども教室のPRは県庁や市役所で行ってくださったので、多くの人にお集まりいただきました。
-ご年配の方から子どもたちまで、幅広い世代に教えていたのですね。先生より年長の方への指導はどのようにされていましたか?
老人福祉課主催の教室に参加する方の多くは、いけばなの嗜みがありました。それが別の流派である場合は、小原流の表現、長さや角度などのルールをゼロから理解してもらうのは難しいと感じていました。ですので上手にいけるための指導よりも、いけている時間を楽しんでいただくことに力を注いでいました。
皆さん楽しんでくださっていたようで、お稽古の時間を心待ちにしてくださり、花展のご案内などをすると足を運んでいただきました。
いけばなの指導はしておりましたが、皆さん私よりも人生経験が豊富です。いけばなを通じて年長者と関わらせていただき、お話をする中でむしろ勉強をさせていただいたという気持ちです。
現在では老人福祉課での指導だけではなく、会社での仕事も、支部の仲間たちに引き継ぎました。富山にはたくさんのいけばなの流派があるので、枠が空くと別の流派が入ってしまいます。小原流を次に繋げていけたらという思いで引き継ぎました。
花展について
-富山県では作品展示に機会が数多くあると伺いました。花展の作品はどのように決めていますか?
作品展示は、二人作または五人作(大作)が多く、時と場合によって異なります。
支部の仲間や生徒と一緒に出品することがほとんどですが、お互いに口は出さずに好きなように花をいけます。何度も展示を経験すると、肩の力を抜いた下準備でもどうにかなるということも学びました。無理なく続けていくために、生徒と一緒に作品を出すときには、花器を貸してあげたり、庭の花を眺めて「これはどう?」と提案したり、負担がかからないように工夫しています。
生徒とは仲が良いので、教室では誰が先生か分からないと言われます(笑)。
-支部長をしていて印象に残っている花展はありますか?
国登録有形文化財である「豪農の館 内山邸」で今年開催したみんなの花展は印象的でした。文化財に花を飾らせていただける機会はなかなかありません。
花展参加者が多かったことはもちろんのこと、アクセスが悪く、車やバスでの移動が必要な場所にも関わらず多くの方に来場者いただき、内山邸のご担当者様からも「こんなにご来場いただけることは滅多にない」と喜んでくださりました。
支部長という仕事
-最後に支部長として大事にしていることはありますか?
上から物を言わないように、皆さんの上に立たないようにしています。
それと、役員の皆さんの話を熱心に聞くこと大事にしています。
例えば、役員が次回の研究会の取合せで考え込んでいたら、研究会でご指導にいらしている先生に質問できるように機会を作ったり、みんなで協力し合いながら富山支部は成り立っています。
今活動できているのは皆さんのおかげだと思っています。
花展の写真
大作を5名でいけました
山村先生が弟子と2人で作成した作品
分からないことがあれば何でも聞いたらいいのよ、と気さくにお話いただきました。
お稽古では楽しむことを大事にのびのびと指導されている様子を感じました。山村先生、ありがとうございました!