全国支部紹介vol.22 小原流松山支部

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小原流は全国に144、そして国外には89の支部があります。皆さんが在籍している支部がそうであるように、それぞれの支部に設立のあゆみや特徴、現在の取り組みなどがございます。本ページでは、毎月、全国の支部を1支部ずつご紹介いたします!今回ご紹介するのは小原流松山支部です。8代支部長 小倉豊民先生にお話を伺いました。


小原流松山支部
支部長 小倉豊民先生

幼い頃から草花が大好きで、砥部焼の水盤に花を生けていた小倉先生。
小原流のいけばなに魅せられ学ばれる場所を探していましたが、 勤務先が、小原流を学びたいという小倉先生の希望を叶えてくださり 小原流の教室を始めてくれたため、小原流を学び初めました。
1996年一級家元教授を取得
2018年松山支部支部長に就任
昭和58年から地区別教授者研究会・研修士研修会に40年連続で出席される。
学ぶことが大好きで、小原流の様式の魅力は尽きないとおっしゃる小倉先生は、 小原流松山支部の運営だけでなく、愛媛県いけばな芸術協会でも活躍するなど 精力的に活動され、後進の育成にも力を入れておられます。

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松山支部の特徴

とても活気のある支部ではないでしょうか。
皆さん研究会にとても熱心で、社中の生徒さんに勧めてくれるので、若い方も研究会に多く出席され活気があります。また、意思疎通が出来て、団結力があります。決め事も、皆で自由に意見を出し合い、決まると一気に団結して進んでいく感じです。
年に3回ある専門教授者研究会の後に時間を取り、様々な議題について専門教授者の皆さまと情報交換をしております。皆さん活発に意見を出し合い、とても有意義な時間です。
役員の方も熱心に支部に協力してくださいます。

・准教授、三級、二級脇、二級の会員の方が、他の支部に比べて多いです。

私の開催しているこども教室のクラスは中学生までなのですが、高校生になって社中に入り小原流を続けてくださる方が多いので、若い方が多いかもしれません。
松山支部では、相原豊樹先生が子供教室を立ち上げてくださいました。子供が大好きな指導者達が、親も巻き込んで教室を運営しています。子供達は本当にいけばなを楽しんでおり、中学校を卒業する時に、お花を辞めたくないという子が多く、支部に所属し小原流を続ける選択をしてくださるのは、本当に有難いです。
准教授の申請も「お花を教える事が出来るようになるのよ。」と話すと、将来の自分をイメージして、とても楽しみになっているようです。目をキラキラさせ「お花をずっと続けたい。」と言う子供達を見るとほほえましくなります。 男の子も数名いるのですが、いけばなに真剣に取り組んでおり楽しみです。

・海外交流もされたと伺いました。

2004年に相原支部長から、モンゴルのウランバートルにある日本大使館での「親善友好の会」のお話をいただいたのですが、あっという間に幹部13名が集まりモンゴルでいけばな披露をしてまいりました。
その後もモンゴルから愛媛県に来日された方々とお話しする機会があったりと、とても楽しい文化交流でしたので、今でも思い出しては時々皆で話しています。

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訪問した松山支部のメンバー

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モンゴル大学の学生にいけばなの説明・紹介をする相原豊樹先生


創立70周年記念特別講習会

2021年11月21日「季を詠む」をテーマに、当地出身の俳人、正岡子規を記念して建てられた博物館にて『松山支部創立70周年記念特別講習会』を開催しました。
コロナ禍で大変な時期でしたが、家元をお迎えして特別講習会を開催し、愛媛県産花材を使った作品などをご披露いただき、支部会員一同大感激でした。 個々の作品の展示も出来ず、開催も危ぶまれた創立70周年記念イベントでしたが、なんとか開催したいという皆の気持ちが原動力となり、松山支部が一致団結しました。
家元をお招きして創立70周年記念特別講習会を開催出来た事は、松山支部の誇りです。

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いけばな花材を守るプロジェクトについて

・松山支部は、本プロジェクトに積極的に取り組んでいただいております。

貴重な花材を消滅させたくない、小原流の伝統を繋ぎたいという一心で参加しております。伝承花の魅力は自分たちだけでなく、未来に繋げなければいけないと考えております。
出席された先生方からは大変好評で、とても真剣に取り組んでいただきました。
「やっぱり伝承花は何回いけてもいい。」という声が多く聞かれました。 伝承花の良さを再認識出来た事で、出席者それぞれに、伝承花の魅力を次の世代にも伝えていきたいという気持ちが強くなりました。2024年も参加していきたいと思います。

・2023年7月に開催した「夏の多種挿し」について

笹百合のお勉強でしたが、小見山先生を講師にお招きして行いました。
1人1人にアドバイスをいただき、感激しました。様式の素晴らしさを再確認出来ましたし、学びが多かったです。また、1人1人を丁寧にご指導いただけたので、それぞれが達成感を持つ事も出来ました。
様式本位の魅力は、いけ方の決まりを理解したときにではなく、実際にいけたときに一層鮮明になると思っております。長年お稽古をしてきましたが、様式本位の挿法に従いながら、どのように扱ったら手にした一期一会の花材を輝かせることができるだろうかと、毎回心を砕きます。
いけるたびに、様式本位のもつ形式の美しさに圧倒されます。
本当に、小原流の様式本位は素晴らしいと思います。

・笹百合の入手にご苦労はされませんでしたか。花材代も張ったのではないでしょうか。

本当に大変でした。でも、笹百合を喜んでいけている皆さんの顔が想像出来るので、どうしても欲しくて、いつものお花屋さんに何回もお願いしました。お花屋さんも一生懸命探してくださり、福島産のものが手に入った時は嬉しかったです。当日は、皆さん笹百合をとても喜んでくださいました。
確かに花材代はかかりますが、いけてみたいという心が優先されます。皆さんに喜んでもらえる事が一番ですね。実際、花材代についてあまり問題にする方もおりません。

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支部長として大事にしていること

自分の経験した事、ご指導いただいた事を若い方々に引き継ぐのが使命だと思っております。自分で出来る事も、担当者に任せますと、担当者は責任感を持ってやってくださいます。 注意する時もありますが、自分が嫌だった事は経験させたくありません。
「会員の心をつなぐ」という事が支部長として一番大事な事だと考えます。
松山支部は温かく家庭的な支部で、粘り強く団結力があります。私の受け継いだ小原流の魅力と技術を、次世代に繋いでいきたいと思います。

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