この人に聞く!vol.25 小原流沖縄支部 仲本翠枝先生
仲本 翠枝先生
2011年5月一級家元教授取得
ご自身のお教室の他に、八重瀬町役場に毎週ボランティアで花をいけておられます。
役場や郵便局でのロビー展は琉球新報にも紹介されました。
令和2年12月には「文化協会功労賞」を授与されました。
先生がいけたお花を見て「お花を教えて欲しい!」と、次々生徒さんが増えていらっしゃいます。
琉舞やフラワーアレンジメントなどもたしなむ多才な仲本先生の魅力をご紹介します。
小原流との出会い
・先生といけばなの出会いについてお伺いさせてください。
幼い頃から母と一緒にお花を育てたり、小学校の花壇でお花を育てたりしていて、もともとお花が好きだったんです。
二十歳になった時に、何か記念に将来もずっと続けられるものを習おうと考えまして。
いけばなと琉舞を体験しましたが、生花が好きだったこともあり、いけばなをやっていこうと思いました。
琉舞も趣味として続けています。
近所に小原流のお教室があったので、「小原流は他とどう違うのですか?」と聞いたら、色々写真を見せてくれて、同じ花材でも色々ないけ方がある。など教えてくださいました。もう他流派を聞きに行かなくていいや。と小原流いけばなを始めたのですが、今でも小原流で正解だったなと揺らぐことなく思えます。
私は自然が大好きで、写景など、小原流のいけばなは私に合っていました。
教授者としての活動
・教授者として活動されたのはいつごろからなのでしょうか。
1990年に初等科表彰を受けていらっしゃいますよね。
教授者として活動を始めたのは30歳くらいからですね。
そろそろ教えたいなと思っていたところ、玉城先生と支部にご挨拶に行くことになって、専門教授者がどのようなものかよく分からないまま登録してしまいました。(笑)
玉城先生はお花屋さんをしていて、沢山の小原流のお教室にお花を卸していたんです。
「あなたが教える時は、お花の心配はしなくていいわよ。」と言われていたので心強かったです。
当時沖縄リウボウ百貨店に知り合いがいたのですが、事務所のメンバーにいけばなを教えて欲しいと言われて受けたら、20名くらい集まったんです。とても恵まれたスタートでした。
いけばな教室はリウボウ百貨店の福利厚生の一環になっていたので、常に生徒さんが20名前後いらっしゃいましたね。
また行きつけのブティックのオーナーから、うちの会社でいけばなを教えてくれないかと言われて、2つ目のお教室が出来ました。
そこから口コミなどで次々教えて欲しいという依頼がきまして、自分で開拓したというより、とんとん拍子にお教室が増えていった感じです。
ちょうどそのころ娘が幼稚園に入りまして、園長先生にいけばなを教えている話をしたら、「周年行事をするので、ひな壇と受付のお花をお願いできませんか。」とお話をいただきまして、子供を預けて夜中まで頑張りました。その後、園長先生から職員に教えて欲しいと言われて、幼稚園の先生方に教えることになりました。
町内に2か所郵便局があるのですが、近くの郵便局のロビーにお花とパンフレットを少し置かせてもらっていました。
すると別の大きな郵便局から、うちにもいけて欲しいと頼まれてお花とパンフレットを置いていたら、それを見た障碍者支援センターの方から、「うちの職員と看護師に教えて欲しい。」と依頼が来まして。どんどん生徒が増えていってびっくりしました。
初めての方ばかりだったので、初等科申請が多く、初等科表彰もいただけたのだと思います。
銀行からロビーで花展をして欲しいとお話をいただきまして、ロビー展を開催したこともありました。
ロビー展を見て習いたいとご連絡をいただき、お教室に通われている方もいらっしゃいます。また、銀行の月刊誌などにも紹介していただきました。

八重瀬町役場でのロビー展
・八重瀬町役場でのロビー展を開催することになったいきさつを教えてください。
八重瀬町役場が移転して新築になった時に、綺麗なロビーだなあと思ったんです。
支部で花展を開催した時に、この作品を役場のロビーに飾りたい!と思いまして、役場にお願いに行ったんです。
花展が終わってから、すごく大きな作品だったのですが、そのまま役場のロビーに持って行きました。
紅葉や楓などを使って琳派調をいけたのですが、とても綺麗で立派でしたのでみなさんに見て頂きたかったんです。沖縄には紅葉がありませんから、紅葉や楓などは高価ですので花展などでしか使えません。おかげさまで、八重瀬町役場の方にも役場に来た方にも、とても好評でした。
みんなの花展の移植という形でしたが、最初のロビー展は町長と教育長にとてもご理解をいただき大成功でした。

その後また八重瀬町で花展をすることになったので、支部の先生方とお願いにあがりました。
花展は大盛況で、地元の新聞社も取材されました。
現在でもボランティアで八重瀬町役場のロビーに毎週花をいけています。広報誌にもご紹介いただきました。
仲本先生の個人の活動
・今までの教授者活動で、印象に残っていることがあったら教えてください。
小学校5年生の男の子が、お母さまと一緒に我が家に来てくれました。ホームぺージから教室を検索したそうです。
彼は野球少年でお稽古に通うことが無理ではないかと言ったのですが、「生け花をやっている男子がかっこいい。」絶対にがんばるとのこと。 小中高と約束通り、アメリカの大学へ行くまで休む事なくお姉さんと一緒に通ってきました。
お姉さんは地元の大学を卒業して、アジアの日本語学校の教師になりました。帰って来た時は手土産持参で寄ってくれます。嬉しい限りです。
現在、二人ともいけた作品などをインスタグラムに投稿しています。
・沖縄でよく使われる花材などありますか?
小原流のお花をいけたいと思って豊友会に注文するのですが、入ってこなかったり、「ないです。」と断られたりします。
花菖蒲や燕子花は本当になくて、燕子花はもう何年も触っていませんね。
先程花展の話にも出ましたが、沖縄には紅葉する木があまりないんです。1年中緑で落葉しないというものがほとんどで。
銀杏、楓、ナナカマドなどは、花展でしか見ることは出来ません。だから手にする時はすごく感動します。
「本当に綺麗だね。どういけても綺麗だよね。」そんな風にみんなと話したりします。
ある年は、素晴らしい楓の葉が全て落ちて、全然使えなかったこともありました。もう残念で残念で。
反対に蘭やヘリコニアは常にあって、生徒さんに「またですか?」と言われてしまいます。(笑)
・先生はフラワーアレンジメントもされていますよね。
ピアノの発表会に渡す花束を頼まれることがよくありましたので、素人が作る花束では失礼にあたると思い勉強しました。
ラッピングも好きだし、必要とされているからアレンジもやらないといけないと思ってやっていますが、やっぱり私は自然の風景や景観が感じられる小原流のいけばなが好きです。
「沖縄県文化協会功労賞」受賞
・2020年に「沖縄県文化協会功労賞」を受賞されたとか。
※「沖縄県文化協会功労賞」は芸術文化の振興、文化財の保護に尽力する等沖縄の文化の振興に功績のあった個人及び団体に対して、その功績をたたえ、沖縄県知事が表彰するものです。
自分としてはただ長い間続けてきたというだけなのですが、認めていただいたのはありがたい事ですね。
これからも精進していきたいと思います。
これから
・先生の生徒さんは若い方が多いですね。
ええ。若い方たちは、一生懸命お稽古してくれています。
だから「早く専門教授者になりなさい。」とハッパをかけているんですが、まだ力がないとか、自信がないとか言って、なかなかなってくれないのが残念です。
私には『北海道から九州まで、お花の旅をする』という次の目標があるんです。
沖縄にはめったにない、バラ園や睡蓮を見てみたいし、花菖蒲や燕子花など今までなかなか使えなかった水ものを沢山いけたいし、やりたいことは山ほどあります。
だから今の生徒さんたちが早く独立出来るように、私も頑張らなくっちゃと思っています。

今回ご紹介した仲本先生は、苦労せずに次々生徒さんが増えていくようでした。
でもそれは、先生のいけばなを見て、先生に憧れて入門されているように感じます。
太陽のように明るくて、何事にもポジティブでチャレンジし続ける仲本先生だからこそ、周りに人が集まってくるのではないかと思いました。
仲本先生が郵便局にパンフレットを置かれていたとお話されていましたが、小原流では各種PRツールをご用意しております。
パンフレットもこちらからお申込みいただけます。
また会員支援課では「いけばなを習いたい。」とお問い合わせがあった方を、ご希望の地区の先生にご紹介させていただいております。
教室登録をされていない方は、ぜひ教室登録をお願いいたします。
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